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今月の実務の動き 今月の実務の流れがわかる

人事労務について、最近の注目すべき点や改正などの情報をお届けいたします。

業務上災害の被害に遭った後の職場復帰

2014年5月20日 掲載
 

 労働者が業務上災害に罹患し、療養期間を経た後、傷病が治癒したとして職場復帰を求める場合、会社としては、業務上災害の原因を踏まえ、職場環境について一定の配慮を求められることがあります。
 
 過労が原因で業務上災害に罹患したのであれば、人員の増加等により過労の原因を取り除くことが重要となりますし、パワハラ・セクハラが原因であれば、そのような事態の再発を防止するために異動等といった措置を検討することになります。
 
 もっとも、会社としては配慮をしていたつもりでも、職場復帰後に再度、同種の業務災害が発生してしまうという例もあります。そこで、そのような場合に、会社が安全配慮義務違反の責任を問われないようにするためには、具体的にどの程度の配慮を尽くしていればよいのかが問題となります。
 
 職場復帰後に、再度職場で発生した事故に関して、会社の安全配慮義務違反の責任が否定された例として、医療法人社団こうかん会(損害賠償請求)事件(東京地判平25・2・19)があります。
 
 同事件では、病院で勤務していた看護士が、せん妄状態(意識混濁に加えて幻覚や錯覚が見られるような状態)となった患者から暴力を受けて負傷し、後遺障害9級が残った後、職場復帰しましたが、再度患者から暴力を受けて適応障害になり、それから休職期間を経て、同期間満了により解雇されたという事案です。

 

 

 判決は、1回目の事故である負傷について業務上の災害であることおよび病院に安全配慮義務違反の責任があることを認めましたが、2回目の事故である適応障害に関しては、業務上の災害であることおよび病院の安全配慮義務違反の責任のいずれも否定しました。適応障害について、病院の責任が否定された理由は次の通りです。
 
 当該看護士が病院に対して、入院患者に対する恐怖心、嫌悪感等を明確な形で伝えていなかったこと、病院としては、患者から暴力が振るわれるという事態は予測できたとしても、それにより適応障害に罹患することまでは予見できないこと等を理由に、病院の安全配慮義務が否定されています。
 
 これは、病院の看護士が患者から暴力を受けたという事案に関する事例判断ではありますが、会社としては、労働者やその他従業員から聴取している事情に基づいて、相当な配慮を尽くせば足りるものであり、あらゆる事態を想定して配慮を尽くす必要まではないものと考えられます。
 
 ただし、労働者が積極的に申告しなければ、会社の方から事情を聴取する必要がないとまでは言い切れず、少なくとも、職場復帰にあたって不安に感じていることはないか等といった程度のことに関しては、会社から労働者に対して事情を聴取し、その回答に基づいて職場環境に配慮すべきでしょう。
 

 

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