職務内容の同一性は、業務の内容と、それに伴う責任の程度によって判断されます。具体的には、業務の種類を比較し、それが同じ場合、担当業務を分析して中核的業務を抽出して比較します。中核的業務が一見異なる場合も、必要な知識や技術の水準の観点から、「実質的に同じ」であるかを比較します。最後に、責任の程度が「著しく異なって」いないかを比較します。
次に、すべてのパートタイム労働者を対象とする、不合理な労働条件の禁止規定に関してですが、ここでいう労働条件とは、賃金に限らず、教育訓練、福利厚生施設の利用など、労働時間以外のすべての待遇を含みます。正社員同視パートとは異なり、職務等が同一であることは要件とされていません。不合理な労働条件であるか否かは、職務の内容、職務内容および配置の変更の範囲、その他の事情を総合考慮して判断されることになります。ただし、同禁止規定は、行政指導の対象とはなりません。
不合理な労働条件の禁止に関しては、類似の規定として、期間の定めを理由とした不合理な労働条件を禁止している労働契約法20条があります。しかし、通勤手当の扱いに関して、労働契約法の同規定とパートタイム労働法とは、考え方を異にしていると考えられています。
すなわち、労働契約法では、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、通勤手当に関して労働条件を相違させることは、特段の理由がない限り合理的とは認められないとされていますが、パートタイム労働法では、正社員とパートタイム労働者との間で通勤手当に関して労働条件が相違していたとしても、ただちには不合理とはならないと考えられています。これは、たとえば、1日2時間しか働いていないパートタイム労働者に対して、正社員と同様に1日1,000円の通勤手当を支給することは必ずしも合理的とはいえないからと説明されています。
今般の法改正を踏まえ、会社としては、今後の通達の動向にも注意しつつ対応を検討する必要があるでしょう。