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今月の実務の動き 今月の実務の流れがわかる

人事労務について、最近の注目すべき点や改正などの情報をお届けいたします。

マタハラ訴訟最高裁判決

2014年11月20日 掲載

 最近、各種報道でも取り上げられ話題になったマタニティハラスメント訴訟で、労働者敗訴の原判決が破棄差し戻しされました(最判平26.10.23)。
 産休・育休明けの降格処分は、原則として育児介護休業法の定める不利益取扱いに該当するとした上で、①労働者の真摯な同意がある場合、②特段の事情がある場合、のいずれかに該当する場合には、例外的に適法になると判示しました。
 
 具体的な事案内容は次のとおりです。
 
 病院で理学療法士として勤務していた女性が、第一子の産休・育休を取得し、その後第二子を妊娠した際に、軽易業務への転換を希望しました。
 理学療法士の配属先は、訪問チームとリハビリテーション科があったところ、より軽易な業務に転換するため、当該女性は訪問チームからリハビリテーション科へ異動となり、併せて副主任の地位を免じられました。このあと、当該女性の6年後輩が、当該女性の後任として、訪問チームの副主任に任命されています。 そして、第二子の産休・育休を取得した後に復帰しようとしたところ、副主任のポストはなく、非管理職として職場復帰することになりました。
 
 最高裁判決は、副主任からの降格は原則として不利益取扱いに該当するとした上で、①労働者の真摯な同意がある場合、②特段の事情がある場合には、当該降格処分も適法と認められるとしました。
 そして、労働者の真摯な同意があるか否かは、当該労働者が受ける有利な影響・不利な影響の内容・程度、事業主からの説明の内容その他の経緯、労働者の意向等に照らして判断されるとしました。
 
 また、同意が存在しない場合における特段の事情とは、降格の措置を執ることなく軽易業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって、その業務上の必要性や、当該降格措置による有利・不利な影響の程度等に照らして、育児介護休業法の規定の趣旨・目的に実質的に反しないものと認められる場合であるとされています。

 

 そして、労働者の真摯な同意あるいは特段の事情の有無について、さらに審理を尽くすため、高裁へ差し戻しとなっています。
 
 同判決を受け、今後は産前・産後や育児のために休業となった場合、当該労働者が配属されていたポストをいつまでも空けておかなければならないのでしょうか。この点、いつまでもポストを空けておくということは、必ずしも現実的とはいえません。当然、空いたポストには後任者を充てるということが考えられます。そのような場合、復帰時に同じポストに配属するとなると、場合によっては、部長職等といった役職者が乱立するなど、人事運営上の支障が生じることも考えられます。
 
 一方、肩書のみのポストで、実質的な管理監督権限を有していないような役職であれば、複数の者が当該ポストに就任したとしても、人事運営上の支障が生じるものではありません。また、このとき賃金の減額が伴わないのであれば、不利な影響も少ないため、上記特段の事情は認められやすくなるでしょう。
 
 このように、産休・育休に入ったからといって、どのような場合でもポストを空けて待機していなければならないわけではないでしょう。もっとも、ポストがないとして降格にする場合、原則として不利益取扱いに該当するとされていることからすれば、労働者からの真摯な同意を得ておく、あるいは、上記特段の事情、すなわち業務上の必要性や労働者の受ける有利・不利な影響等について十分に検討しておく必要があるでしょう。労働者の受ける有利な事情としては、育児にとっての有利に働く事情(勤務時間の調整が行いやすい等)などが考えられ、一方、不利な事情としては、賃金の減額等が考えられます。事案に応じて、様々な事情を総合的に検討する必要があるでしょう。
 
 
 

 

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