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今月の実務の動き 今月の実務の流れがわかる

人事労務について、最近の注目すべき点や改正などの情報をお届けいたします。

復職判定

2015年10月20日 掲載

 近年、メンタルヘルス疾患により休職する労働者が増加していますが、復職判定時に争いとなるケースがあります。実際には体調が回復していないにもかかわらず、就労可能であるとして復職を申請してくるといったケースです。身体の故障であれば、どのような健康状態であるかはある程度客観的に明らかになりますが、精神疾患の場合には、精神面が問題となっているため客観化し難く、復職の可否に関する判定が難しくなることがあります。復職を求める労働者は、就労可能と記載された主治医の診断書を提出することが通常ですが、その信用性が疑わしい場合に、会社としてはどのように対応すべきかが問題となります。

 

 メンタルヘルス疾患対応において重要となるのは、まずは医学的知見に基づく医師の見解や、客観的な投薬・治療状況、就労状況について証拠を固めておくことです。主治医が診断可能と診断していても、産業医面談を実施したり、産業医から主治医に対して意見聴取を行ったりなどして、主治医の診断内容の信用性について、専門的知見から分析・検討を行う必要があります。また、投薬状況の経過・推移も把握した上で、病状が良くなっているのかを検討することも重要です。強い薬が処方され、その処方量も休職期間中にほとんど減っていないようであれば、体調が回復傾向にあるとは認め難いといえるでしょう。さらに、試し出勤等を利用して、実際の就労状況について検討し、それを踏まえて産業医や嘱託医の見解を聴取することも有用です。

 

 このように、産業医の意見、治療・投薬状況、就労状況等を勘案し、主治医の診断書の信用性について慎重に検討した上で復職判定を行うことが重要といえます。

 
 裁判例では、復職可能とする主治医の診断書が提出されていたものの、会社が復職不可と判定したことにつき、適法な対応であるとされた事案として伊藤忠商事事件(東京地判平25.1.31)があります。

 

 総合職で働いていた労働者が、躁うつ病に罹患して休職し、休職期間時に総合職としての復職を求めたものの、会社から認められずに退職扱いとなった事案です。同事案では、休職期間満了後に主治医が変わっており、前の主治医は復職不可能と判定していましたが、新しい主治医は復職可能と診断していました。もっとも、新たな主治医も、ただちに総合職として復職することは難しいだろうという判定をしていました。また、会社は、非常に丁寧なトライアル出社を実施した上で、産業医および嘱託医に意見聴取を行い、両医師から復職不可能との見解を得ていました。

 

 裁判所は、労働者が総合職としての復職を求めている以上、総合職として復職可能かという観点から検討すべきであるとした上、いずれの医師も総合職として復職することは困難と判定していることから、当該労働者の健康状態が復職可能な程度にまで回復していたことの立証はなされていないとして、退職扱いを適法であるとしました。

 

 このように、復職判定にあたっては、丁寧な対応を行い、客観的な証拠を固めておくことが、ひいては紛争予防のためにも重要となるものと考えられます。

 
 
 
 

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