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今月の実務の動き 今月の実務の流れがわかる

人事労務について、最近の注目すべき点や改正などの情報をお届けいたします。

付加金について

2016年3月22日 掲載

 労基法114条は、「裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第7項の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から二年以内にしなければならない。」と定めています。

 ここでは、以下の賃金の不払いの事実が認められる場合に、裁判所が、未払金と同額の付加金の支払いを命じることができるとされています。

・解雇予告手当(第20条)

・休業手当(第26条)

・割増手当(第37条)

・年休中の賃金(第39条7項)の不払いについて

 

 未払金がある場合に必ず付加金の支払いが命じられるわけではなく、裁判所の裁量に委ねられており、また、支払いが命じられる場合も、必ず未払額と同額でなければならないわけではなく、最大で同額ということになります。

 なお、月例賃金については、未払いがあったとしても付加金の支払いを命じることはできません。付加金を命じることができるのは、上で列挙した賃金の未払額に限られています。

 付加金の支払いをめぐって問題となるのは、一審判決で付加金の支払いを命じられた場合に、二審判決前(口頭弁論の終結前)に未払い賃金を支払うことで、付加金の支払い命令を取り消せるかという点です。付加金は、未払い賃金が存在する場合に支払いを命じられるものですので、事実審の口頭弁論終結前までに未払い賃金を支払って消滅されることで、付加金の支払命令の前提がなくなり、命令が取り消されるかという問題です。

 この問題について、まず一審判決前に未払い賃金を支払ったケースに関しては、新井工務店事件判決(最二小判昭 51.7.9 裁判集民 118.249)が、「労働基準法114条の附加金の支払義務は、使用者が予告手当等を支払わない場合に当然発生するものではなく、労働者の請求により裁判所がその支払を命じることによってはじめて発生するものと解すべきであるから、使用者に労働基準法20条の違反があっても、裁判所の命令があるまでに未払金の支払を完了しその義務違反の状況が消滅したときには、もはや、裁判所は附加金の支払を命じることができなくなると解すべきであり……」と判示しています。

 同最高裁判決の後も、一審判決で付加金の支払いが命じられた後、二審の口頭弁論終結前に未払賃金を支払ったというケースについてはいまだ議論がありましたが、今般、ホッタ清信堂薬局事件判決(最一小判平成26年3月6日)において、「労働基準法 114 条の付加金の支払義務は、使用者が未払割増賃金等を支払わない場合に当然発生するものではなく、労働者の請求により裁判所が付加金の支払を命ずることによって初めて発生するものと解すべきであるから、使用者に同法 37 条の違反があっても、裁判所がその支払を命ずるまで(訴訟手続上は事実審の口頭弁論終結時まで)に使用者が未払割増賃金の支払を完了しその義務違反の状況が消滅したときには、もはや、裁判所は付加金の支払を命ずることができなくなると解すべきである。」と判示されました。

 したがって、事実審の口頭弁論終結時前までに未払い賃金を支払い、義務違反の状態を消滅させれば、付加金の支払命令を取り消すことが可能です。

 しかし、注意すべき点があります。一審判決に仮執行宣言が付されている場合、その後の未払い賃金の支払いは、仮執行宣言に基づく支払いであり、任意の支払いではないとして、付加金の支払命令を取り消すことができない点です。これは、仮執行宣言の執行により支払った場合だけではなく、仮執行宣言後に、仮執行手続き外で支払った場合も同様です。もっとも、上記平成26年の最高裁の事件では、一審判決に仮執行宣言が付されていました。それでも付加金の支払命令が取り消されたのは、未払賃金を支払った後、原告は訴えの取下げを行っており、紛争が解決しているからです。未払賃金を支払ったとしても、その後も会社側が争う姿勢を示し、紛争を継続させているのであれば、任意の支払いとは認められず、付加金の支払命令を取り消すことは困難になると考えられます。

 したがって、付加金の支払命令について取消しを求めるのであれば、未払賃金について任意の支払いを行う必要があります。支払ったものの、未払賃金の有無について高裁で争う姿勢は継続しているような場合には、任意の支払いとは認められない可能性が高いため注意が必要です。

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