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今月の実務の動き 今月の実務の流れがわかる

人事労務について、最近の注目すべき点や改正などの情報をお届けいたします。

同一労働同一賃金ガイドライン

2017年2月20日 掲載

 2016年12月、同一労働同一賃金に関するガイドラインの案が発表されました。同一労働同一賃金に関する法改正(労働契約法、パートタイム労働法、派遣法の3法改正)は、2019年4月頃の施行が予定されています。なぜ、それより2年以上前にガイドライン、しかもその案文が発表されたのかというと、同一労働同一賃金を実現するためには、労使間の交渉等諸手続きを踏まえた上で、人事制度の改訂のためにある程度の準備期間が必要となるため、改正法が施行される前までに準備が整うよう、早い段階でガイドラインの案文が発表されたものです。したがって、企業としては、同ガイドラインを踏まえて、早急に対応を準備する必要があります。

 

 同ガイドライン案に関しては、職務給制度の導入を促しているという批判をよく耳にします。しかし、ガイドラインの作成担当者の話によれば、このような批判は誤解に基づくものであり、同案は、どのような賃金制度を採用すべきであるかについて一切言及しておらず、職務給、職能給、年功序列給等、いずれの制度であっても問題ないとのことです。各制度を前提に、同一労働同一賃金が実現されていれば良いとのことです。

 

 同ガイドライン案で注意すべきは、「同一賃金」といった場合に、賃金総額で比べるのではなく、給付の費目ごとに比べる点です。したがって、賃金総額に差異がなかったとしても、通勤手当や単身赴任手当等といった支給費目ごとに、無期フルタイムと非正規とで支給の有無・内容に差があれば、それは同一労働同一賃金の観点から問題になり得ることになります。

 

 同ガイドライン案は、給付費目ごとに、問題とならない例と問題となる例を挙げていますが、まず今回は、同ガイドライン案に基づいて基本給について検討・解説します。

 基本給について同ガイドライン案は、以下のように述べています。

基本給について、労働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の職業経験・能力を蓄積している有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、職業経験・能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、蓄積している職業経験・能力に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 

 そして、問題とならない具体例として、以下の例を挙げています。

B社においては、定期的に職務内容や勤務地変更がある無期雇用フルタイム労働者の総合職であるXは、管理職となるためのキャリアコースの一環として、新卒採用後の数年間、店舗等において、職務内容と配置に変更のないパートタイム労働者であるYのアドバイスを受けながらYと同様の定型的な仕事に従事している。B社はXに対し、キャリアコースの一環として従事させている定型的な業務における職業経験・能力に応じることなく、Yに比べ高額の基本給を支給している。

 

 これはどういうことかというと、たとえば、コンビニエンスストア等を経営している会社のキャリアコースの正社員が、現場経験を積むために、コンビニの現場でパートタイマーのアドバイスを受けながらコンビニ店舗で作業等に従事した際、従事している業務が同一であったとしても、当該パートタイマーとキャリアコースの正社員との間で給与に差を設けて構わないということです。

 したがって、職業経験や能力に応じて基本給を支給している場合、必ずしても現時点の業務そのものに着目して基本給を同一にする必要はなく、キャリアコースとしての職業経験の要素等も加味して支給額に差を設けても問題はないということになります。

 

 一方、同ガイドライン案で問題になる例として挙げられているもののうちでは、たとえば、「キャリアと非キャリアでは将来の役割期待が異なるため、賃金制度・賃金計算方法が異なり、結果として賃金に差が生じている」といった抽象的説明のみでは、賃金差に関する合理性の説明としては不十分であるとされていることに注意を要します。

 これまでは、正社員と非正規では、将来に対する役割期待が異なるという理由で、賃金の計算方法や各種手当の支給の有無・額に差が設けられていることがありましたが、今後は、そのような抽象的理由付けのみでは賃金差の合理性の説明としては不十分であると評価されることになるため、注意が必要です。

 

 また、同一労働同一賃金に関する法改正では、雇用形態ごとの賃金差の理由について、企業に説明義務を課すことが予定されています。

 企業としては、支給費目ごとに、どのような理由で支給されているのか、また、金額を算定する上で考慮されている要素はどのような事情か等といったことを子細に分析し、その賃金差の理由について労働者に対して合理的な説明を行う必要があります。そのためにも、法改正に向けた準備期間である今の段階で、賃金制度を精査し、必要に応じて改訂等の作業を行うことが必要になるでしょう。

 

 

 

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