税務に関する旬のトピックスや、注意すべき項目などについて、わかりやすく解説いたします。
2011年3月25日 掲載
消費税法では、消費税の対象となる取引を「資産の譲渡等」と定め、課税される取引を「課税資産の譲渡等」と定めている。つまり、取引が「資産の譲渡等」に該当するかどうかをまず判定し、そのうえで、資産の譲渡等に該当する取引について「課税資産の譲渡等」に該当するかどうかを判定していくということである。
資産の譲渡等とは、「事業として対価を得て行われる」取引とされており、資産の譲渡にかぎらず、資産の交換・貸付に加えてサービスや役務の提供も含まれる。対価を得ないで行われる取引は対象とはならないが、代物弁済や負担付贈与、法人が役員に対してする資産の無償譲渡などは、対価を得て行われる取引として消費税の対象とされる。
これに対して、資産の譲渡等に該当しない取引としては、保険金や損害賠償金の支払、預り保証金の受け入れ等があるが、これらの取引は「不課税取引」と称されている。不課税取引は消費税の対象外の取引であるから、課税売上割合の計算など消費税の対象からすべて除外される。
また、資産の譲渡等に該当する取引であっても、消費税の課税対象としない取引が定められており、これが「非課税取引」である。
非課税取引には、消費税の課税になじまないために非課税とされている取引と、政策的に消費税を課税しないこととしている取引とがある。
消費税になじまない取引とは、切手やプリペイドカードの売買や預金利子、株式の売買などであり、政策上非課税とされているのは、学校の授業料や医療費、福祉サービスなどである。
ただし、非課税とされるのはこうした取引そのものであるから、たとえば証券会社が受取る株式の売買手数料などは課税取引となる。
非課税取引は、不課税取引とは異なって、課税売上割合の計算等にも関係してくる。
なお、このほかに消費税では「免税取引」があるが、これは輸出の場合で、消費税は課税されず、輸出物品については仕入税額控除ができる。