税務に関する旬のトピックスや、注意すべき項目などについて、わかりやすく解説いたします。
2012年8月15日 掲載
土地の相続税の評価に当たっては、間口が狭いとか、奥行が深い、あるいは不整形地であるなど、評価する土地の状況によって、評価額を減額調整する取扱が定められている。
広大地の評価もその一つである。広大地の相続税評価額が減額されるのは、面積が広い土地を宅地開発しようとする場合には、土地計画法等によって一定の公共施設用地の負担が求められるとか、道路を設置しなければならないため、宅地として利用できないいわゆる「潰れ地」が生じるなどの理由による。
具体的には、広大地の評価は、路線価に評価する土地の地積を乗じ、奥行価格補正などの各種の補正を行う前の価額に、次の広大地補正率を乗じて行う。
広大地補正率=0.6-0.05×広大地の地積/1,000㎡
倍率地域にある広大地についても、1㎡の価額を路線価とみなしてこの補正率を乗じて評価する。
広大地評価が適用できるのは5,000㎡までであり、この結果、広大地補正率の下限は0.35となる。
広大地評価は、宅地としての開発を前提としているから、大規模工場用地に該当する土地や、マンションなどの中高層集合住宅の敷地に適している土地などは対象とはならない。
大規模工場用地とは、路線価図で大工場地区とされている土地にある5万㎡以上の土地のことである。また、容積率が300%以上である土地は、原則としてマンション適地となり、広大地としての評価はできないが、周辺地域が全て戸建住宅であるような場合には、広大地評価が可能になる場合もある。
また、原則として、都市計画法で開発許可が必要とされている規模の宅地とされており、3大都市圏の市街化区域であれば500㎡以上、それ以外の地域の市街化区域であれば1,000㎡以上、非線引き都市計画区域および準都市計画区域は3,000㎡以上とされている。ただし、市町村等が開発許可が必要な面積基準として、これとは異なる基準を設けている場合もあるため、実際の広大地の評価に際しては、地元の自治体に確認する必要がある。
広大地評価に際して使用する路線価は、その広大地が接している路線のうち最も高い価額とされている。
これらの基準を満たしている土地については原則として広大地評価が可能となるが、最近は、いわゆる「旗ざお地」などの路地状開発が可能な土地については、適用が認められないケースも出ているようだ。
なお、広大地評価をした価額が、広大地評価を適用しないで各種の減額補正をして評価した価額よりも高ければ、広大地評価をしない低いほうの価額が評価額となる。