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税金の杜 税務実務のワンポイントコラム

税務に関する旬のトピックスや、注意すべき項目などについて、わかりやすく解説いたします。

個人のタックスヘイブン対策税制を巡り主張立証責任を課税当局にあると判示

2013年7月12日 掲載

 個人にタックスヘイブン対策税制を適用した課税案件が訴訟に持ち込まれ、その動向が注目された事案で、東京高裁は、原審の東京地裁に引き続き納税者を支持、課税当局の控訴を棄却した。

課税当局が上告を断念したことから、高裁の判断が確定したこの事案では、タックスヘイブン対策税制の適用除外基準のうち、実体基準と管理支配基準の充足が認められるかに関心が集まっていたが、高裁判決では、主張立証責任が課税当局にあることについて言及されたことから、納税者勝訴とあわせてインパクトのある裁判例となった。

 

この事案では、日本企業の役員個人が、シンガポールに出資をして法人を設立し、業務委託契約を締結したシンガポール法人のレンタルオフィス内の机1台分のスペースを利用して、事業を行っていた。

 

課税当局は、この日本企業の役員がシンガポールに設立した法人は、特定外国子会社等に該当するとしてタックスヘイブン対策税制を適用。シンガポールに設立した法人の留保所得を、日本企業の役員の雑所得に算入するとして課税処分を行ったが、日本企業の役員はこの処分を不服として訴訟を提起した。

 

タックスヘイブン対策税制は、いわゆる軽課税国や地域に設立した実体のない特定外国子会社等の所得を、日本国内の法人または個人の所得とみなして、日本国内の親会社等の所得に合算して課税する制度。

 

事案において、日本企業の役員は、シンガポールに出資をして設立した法人は、事業を行っており、タックスヘイブン対策税制の適用除外基準を満たしていると主張。タックスヘイブン対策税制では、以下の適用除外基準をすべて満たしている場合には、制度は適用されない。

 

①事業基準(主たる事業が株式の保有等、一定の事業でないこと)

②実体基準(本店所在地国に主たる事業に必要な事務所等を有すること)

③管理支配基準(本店所在地国において事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること)

④所在地国基準又は非関連者基準

東京高裁は、レンタルオフィスであっても事業規模からすると実体基準を満たすこと、また、シンガポールに設立された法人の株主総会が現地役員参加のもとシンガポールで行われていること等の理由から管理支配基準も満たしており、タックスヘイブン対策税制の適用除外基準を満たすと判断し、納税者を支持している。

なお、この判決では、主張立証責任について、租税訴訟においては納税者側の事情が主張立証の対象となることが多く、証拠の近さはあまり重視すべきでないと考えられるとして、主張立証責任は課税当局側にあると判示されているが、納税者側に主張立証責任があるとされることが多いことから、この判決の持つ意義は大きいものと考えられる。

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