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税金の杜 税務実務のワンポイントコラム

税務に関する旬のトピックスや、注意すべき項目などについて、わかりやすく解説いたします。

相続により取得した不動産の取得価額 ~長崎年金訴訟の類似事案の行方~

2013年10月25日 掲載

相続により取得をした不動産を譲渡して得た所得の計算において、相続税の課税対象となった部分の金額が譲渡収入金額から控除されるのか否かを争点とした訴訟で、東京地裁は、課税当局の更正処分を支持する判決を行った。

 事案において問題となったのは、被相続人が不動産を所有している間に増加した部分(下記(参考)の「増価分B」)の課税関係。
 
 相続人である納税者は、この部分について、所得税法9条1項15号で、相続、遺贈又は個人からの贈与により取得する所得については、所得税を課さないと規定しており、相続時に相続税の課税対象となっていることから非課税所得であると主張した。

 一方、課税当局は、相続によって取得をした譲渡所得の基因となる資産を譲渡した場合、所得税法では、被相続人の保有期間中の増加益を所得税の課税対象とすることを予定し、所得税法60条1項1号で、取得価額を引き継ぐ規定を設けていることから、「増価分B」は非課税所得にはならないとして、更正処分を行った。

(出典:最高裁判決研究会報告書の概要)

この事案は、平成22年7月6日に最高裁が納税者を支持して話題になった、いわゆる長崎年金訴訟の類似事案と言える。
 
 長崎年金訴訟では、相続により取得した年金形式で受け取る生命保険金は所得税の課税対象にならないと判示された。
 この最高裁判決については、最高裁判決研究会が「「生保年金」最高裁判決の射程及び関連する論点について」を取りまとめ、判決の趣旨及びその射程等について整理を行っている。
 
 そして、最高裁判決研究会の報告書は、上記の(参考)の図を用いて、土地、株式等の値上がり益について、所得税法60条1項は、被相続人の取得価額(A)が相続人に引き継がれることを規定しており、相続人がその財産を将来譲渡した時点において、被相続人段階での増価分(B)を含む値上がり益(D)に対して、所得税を課すことを法が予定しているとしている。

 

今回の事案における課税当局の主張は、この報告書の内容に沿って行われており、結果として、東京地裁も同様の判断を示したこととなる。
 ただ、この事案は控訴され東京高裁に判断の場を移しており、今後、高裁がどのような判断を示すのか、専門家から注目される事案となっている。
 

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