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ZEIKENPLUS 2013 Summer

5分でわかる!税務会計 消費税が上がる前と上がった後、家を買うならどちらの方がいい?

新日本有限責任監査法人・公認会計士 太田 達也
 消費税率は現在5%ですが、平成26年4月1日から8%に、平成27年10月1日から10%に引き上げられることが予定されています。そこで、住宅を購入される方にとって、購入時期は消費税が上がる前がいいのでしょうか、それとも消費税が上がった後がいいのでしょうか。
消費税が上がる前に大きな買い物を済ませておこうと考える人もいますが、一方で平成26年4月1日以後に引渡しを受けることにより、平成25年度税制改正により拡充された住宅ローン減税の拡充の恩恵を受けようという人もおります。この問題はそれほど単純ではなく、ケースごとにあらゆる角度から検討してみる必要があります。

住宅にかかる消費税は?

住宅と一口に言っても、消費税がかかるものとかからないものがありますので、その点を整理しておく必要があります。
第1に、土地には消費税はかかりません。一戸建ての場合だけではなく、マンションの場合も土地部分にはかかりません。ただし、造成費、地盤調査費などには消費税
はかかります。
第2に、建物本体についてですが、新築物件の場合は、通常は売主が事業者ですので、消費税がかかります。一方、中古物件の場合は、売主が個人である場合が多く、その場合には消費税はかかりません。
第3に、不動産会社に支払う仲介手数料、司法書士の報酬、土地家屋調査士の手数料、金融機関に支払う融資手数料などに消費税がかかります。
最も金額が大きいのは、建物本体部分であることは言うまでもありません。

住宅ローン減税の拡充

消費税率引上げの前後における駆け込み需要やその反動による影響という問題に対処するために、平成25年度税制改正により、住宅ローン減税の拡充が行われることになりました。
具体的には、住宅ローン減税の期限を平成29年12月31日まで4年間延長し、その期間のうち平成26年4月1日から平成29年12月31日までに住宅を取得した場合の最大控除額を一般住宅の場合は最大400万円(長期優良住宅・低炭素住宅の場合は最大500万円)に拡充するとしました。改正前は、最大200万円でしたから、控除限度額を2倍に引き上げることになり、思い切った減税措置であることがわかります。これは、消費税の引上げ前の駆け込み需要によるその後の反動をできるだけ押さえようという政策のねらいであると考えられます。

住宅ローン減税の落とし穴

 

先ほど説明しました住宅ローン減税の拡充内容を一見みると、かなりのメリットがあるように思われます。しかし、控除額の上限が400万円となっている点に注意する必要があります。借入額4000万円を限度として、借入額に対して1%を乗じた額が各年の控除限度額になり、控除期間が10年間ですので、最大で400万 円(40万円×10年間)という意味です。
したがって、収入が低い場合や物件の価格が低い場合は、4000万円も借入しないことが考えられますので、控除額は400万円にとても達しません。また、収入が多い方が、当初4000万円を借り入れた場合であっても、ローンの返済により借入額が減少していき
ますので、10年間の間に借入額が4000万円を下回る場合は、控除額が徐々に減少していくケースも生じ得ます。

住宅ローン減税は、どのようなケースで有利なのか?

 

以上の内容から、今回の住宅ローン減税の拡充が有利に働くと考えられるのは、次のようなケースかと思われます。
①住宅ローンを4000万円またはそれ以上借り入れる予定である場合
②土地の価格が高い地域での購入を予定している(または住宅に占める土地の価格の割合が高い一戸建ての購入を予定している)
場合です。
上記①については、住宅ローンの借入額が10年間、4000万円を下回らなければ最大で400万円の控除が受けられることから明らかです。 ②については、消費税は建物にのみかかりますが、住宅ローン減税の対象となる借入額は土地と建物を区別しないで、借入額の総額が対象になることから、消費税増税のマイナスの影響よりも住宅ローン減税のプラスの影響が上回るケースが想定されるからです。
上記に掲げたケースとは反対に、分譲マンション、土地の価格が低い地域での物件購入を予定している場合や、住宅ローンの借入額が少ない場合は、期待していたほどのメリットが生じないこともあり得ますので、実際に住宅ローン減税のメリットを試算してみるとよいと思われます。

具体例 ~ 有利な例 ~

有利な例

 

仮に土地3000万円、建物1500万円、合計額が4500万円という新築物件を購入するものとします。消費税がかかるのは建物部分のみですから、平成26年4月1日以後に消費税率が5%から8%に上がることによる増税額は、1500万円×3%(8%-5%)=45万円です。
一方、平成26年4月1日以後に入居することを前提として住宅ローン控除を適用した場合、1
0年間住宅ローンの借入残高が4000万円を下回らないと仮定した場合には、40万円×10年間=400万円の住宅ローン控除を受けられることになります。平成25年度税制改正前は、200万円でしたから、従来に比べて400万円-200万円=200万円の今回の税制改正によるプラス効果が発生することになります。

具体例 ~ 不利な例 ~

不利な例

 

仮に土地700万円、建物1300万円、合計額が2000万円の住宅を購入するものとします。平成26年4月1日以後に消費税率が5%から8%に上がることによる増税額は、1300万円×3%(8%-5%)=39万円です。
一方、平成26年4月1日以後に入居することを前提として住宅ローン控除を適用した場合、平成25年度税制改正による住宅ローン減税の拡充のメリットは一切ありません。それでも、各年の借入額に対して1%を乗じた額の税額控除は受けられますが、この取扱いは改正前と同じです。平成26年3月31日までに引渡しを済ませておけば税率5%が適用されたにもか
かわらず、平成26年4月1日以後の引渡しにしたばかりに税率が3%上がって、一方住宅ローン減税の額は従来と同じということになりますから、引渡しの時期を早めておけばよかったと後で後悔する可能性があります。

消費税増税前に購入することが本当に得なのか?

消費税の増税前に駆け込みで購入することが本当に得なのかどうかは蓋を開けてみないとわかりません。なぜならば、消費税の増税額と住宅ローンの減税額の拡充額は試算すればすぐにわかりますが、消費税の増税後の不動産価格がどうなるのかは誰にも予想できないからです。
今回は住宅ローン減税の拡充が行われることにより、駆け込み需要(およびその後の反動)が前回ほど発生するのかどうかわかりませんし、そもそも不動産価格の今後の推移は蓋を開けてみないとわからないと思われます。

金利の動向も気になる!?

将来的に金利が上昇した場合に、それが住宅ローン金利にも影響することが考えられます。ただこれも将来のことなので、誰にも予想はできません。
いずれにしても、不動産価格や金利の今後の見通しは難しいと思われます。あまりエコノミストや経済評論家の意見を鵜呑みにはしない方がいいようにも思われます。
色々な意見は参考にすべきですが、最終的には自己責任で判断するという姿勢が望ましいと考えられます。一生に1度の買い物であり、頭金の準備やローン計画を詰めたうえで、気に入ったいい物件を手に入れるというのが重要であるようにも思われます。

ここで太田先生に質問!

1.自動車・家電製品の場合はどうなの?
2.住宅ローン減税の拡充によるプラスと金利が0.5%上がることによるマイナスはどちらが大きい?
3.注文住宅等の請負契約には、 特別な経過措置があるってホント?

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