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ZEIKENPLUS 2013 Summer

研修会レポート 人気の研修会をご紹介します!
 企業不祥事と内部統制―最新版

公認会計士 赤塚 安弘 氏
 税務研究会では、税務・会計を中心とする実務セミナーを全国にて開催しています。
今回は公認会計士の赤塚安弘先生に、企業不祥事と内部統制について、解説していただきました。

1.企業不祥事とは

企業不祥事とは、粉飾決算を含む会計不正や経営者又は従業員が行うインサイダー規制違反、リコール隠し、談合、株価操作、脱税、公害等の違法行為のことです。そもそも企業経営の目的は、”社会的責任を果たし社会に貢献すること“ です。しかし、現実には企業不祥事の発生によって、企業を取り巻く多くの利害関係者が迷惑を受け、金銭的被害を被っています。
最近、社会的責任が重視されている背景には、
①環境問題の深刻化と共に利害関係者による企業への監視が厳しくなったこと
②社会的責任投資(SRI)の評価基準の発展により、投資家が経済性、公共性と共に社会性を重視して投資活動をするようになってきたこと。
③企業不祥事の継続的発生と被害の拡大
等があります。
また不正に対して、
①上場会社は公認会計士の監査を受けており内部統制システムも機能している筈なのになぜ発生するのか
②企業モラルが低下しているのではないか
という疑問が挙がっています。

2.不正のトライアングル

不正の原因解明に関する研究には、1950年代に米国の横領犯罪学者である、ドナルド・R・クレッシーが提唱した仮説があります。この仮説は、現在の米国公認会計士協会監査基準書99号に採用され、サーベンス・オクスリー法(SOX法)や我が国のSOX法にも取り入れられています。この仮説は、不正が発生するには、3つの不正リスクファクターがあり、それらが揃った時に不正が発生するというものです。
当該ファクターは、プレッシャー、機会、正当化の3つで、これにより不正実行者の心理を理解しようとするものです。
プレッシャーとは、不正行為を行う原因となった ”動機“ を意味します。例えば、①経済的悪化、②個人的失敗、③企業内での孤立、④地位向上への欲望、⑤雇用者への不満等です。
機会とは、不正を行おうと思えばいつでもできる状況(地位、環境)にあることを意味します。例えば、
①内部統制の脆弱の状況、②資産の保全が不十分の状況にあり、かつ③不正実行者が、不正を内密に行える技術的スキルを有していることが条件となっています。
正当化とは、不正実行者が当該不正を正当化するプロセスを意味します。例えば、
①粉飾は会社のために行うのであり正当性がある、
②金銭の横領は一時的に借用するものであり犯罪行為ではない
等です。
この仮説は、横領犯罪を対象に調査、研究されたものですが、経営者不正を含むすべての不祥事にも対応出来るものです。

●企業不祥事の事例
アメリカの事例 エンロン事件、ワールドコム事件
日本の事例 a:内部統制限界型(経営トップによる内部統制無視)
三菱自動車リコール隠し事件、カネボウ粉飾決算事件(トップと会計士との共謀)、ライブドア事件(同右)、西武鉄道株事件
b:統制環境不適切型(経営者の姿勢が不十分)
JR西日本福知山線事件、東京電力原発事件、損保ジャパン保険金不払い事件

3.内部統制とは

企業不祥事を防ぐためには内部統制を構築し遵守することが必要です。内部統制は、
①業務の有効性、効率性
②財務報告の信頼性
③事業活動に関わる法令等の遵守
④資産の保全
という4つの目的を達成するために企業内のすべての者によって遂行されるプロセスであり、
①統制環境
②リスクの評価と対応
③統制活動
④情報と伝達
⑤モニタリング
⑥ITへの対応
という6つの基本的要素から構成されています。
中心は、統制環境であり、組織の気風を決定し、組織内のすべての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎をなし、経営者の誠実性及び倫理観、意向及び姿勢、経営方針及び経営戦略等の事項を含みます。これを基盤として、組織目標の達成に影響を与える事象について、その達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価し、当該リスクへの適切な対応を行います。これをリスクの評価と対応と呼びます。
そして、統制活動として、経営者の命令及び指示が適切に実行されることを確保するため方針及び手続を策定します。この過程において、必要な情報を識別、把握及び処理し、組織内外及び関係者相互に正しく伝えることを確保するために情報と伝達があります。また、内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセスであるモニタリング機能も必要です。これには日常的モニタリングと独立的評価があります。

4.どうすれば企業不祥事をなくせるか

実は、企業不祥事を完全になくすことは不可能だと思っています。不祥事は、全て人が行うものであり、それを防ぐ内部統制にも限界があるからです。内部統制の限界とは、
①内部統制に関して下される意思決定に誤りがある場合
②従業員の単純な誤りや誤解によって一時的に正常に機能しなくなる場合
③統制活動が共謀によって機能しなくなる場合
④経営者が内部統制を無視する場合
等のように内部統制が本来有する制約のため有効に機能しなくなることです。上記の不祥事の事例を見ても、重大な不祥事の多くは、内部統制限界型か統制環境不適切型です。
このように経営者が行う不正は、内部統制の枠外であり、内部統制では防止できません。経営者がコンプライアンスやリスク管理に真剣に取り組んでいない場合、法令遵守よりも業績や利益を優先させる方針である場合、発生した事故を隠蔽する体質がある場合、リスクの評価が適切に行われていない場合等がその例です。しかし、不正の発生件数でみれば、従業員の個人的事情による会社資産の横領が約70%の大きな比率を占めています。経営者の不正に対しては、社外取締役や社外監査役を加えた取締役会や監査役会による経営監視体制の強化、従業員不正に対しては、不正のトライアングルの3要素の排除及び内部統制システムの強化が有効です。然しながら、最も重要なことは不正の兆候を早期に把握して、重要な被害が発生する前に解決することです。


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